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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第31章 理性と欲望の狭間


「んじゃ、それで」

そうして少し話をした後に加賀は通話を切り、カウンターに置けば雅の体をしっかりと包み込む様に抱きしめる。

「…ねぇ、電話の途中だった…」
「あぁ、だな」
「『だな』じゃないよ…もぉ…」
「ダメだったか?」
「だって…あんな風にいきなり…抱きしめられたら…」
「ん?」
「…ッッびっくりして声出そうになる…」
「出てもいいんじゃね?相手リックだし…」
「そういう問題じゃないじゃん…」
「そう?」

少しも悪びれた様子のない加賀に対して戸惑いを感じた雅。しかしそれでも抱きしめられるその腕に甘える様に凭れていく雅を抱き寄せた。

「…つか、俺の服」
「…抱っこされてるみたいで…」
「誰に?」
「…ッッ…それは…」
「ん?」
「…城…に」
「やっと言った…」
「言わせようとしてたでしょ…」
「そりゃぁな、呼んでいい?って聞いたからには呼ばれんだろうなって思ってたのに、なかなか呼ばねぇからよ?」
「…練習…とかも居るかなって…」
「要らねぇだろうよ」
「…でも」
「なら、するか?練習」
「…わ、たし一人でする…」
「一人じゃ練習にならねぇだろ…」

そういわれながらもキスが寸止めで止められる。

「…ッ…」
「シたい?」
「…ッッ」
「なら呼んでみ?」
「…それ交換なの?」
「当然だろ」
「…ッッ」
「ほら、言わねぇと…いつまでもこの距離だけど?」

触れるか触れないかの微妙な距離を保ったまま、加賀は吐息交じりに話している。

「…ッッ…」
「ほら、どうする?」
「城…ッ」
「聞こえねぇ」
「…城…」
「ん?何?」
「…キス…したい…城…」
「…クス…」

そういわれ小さく笑えば加賀はゆっくりと唇を重ねるのだった。
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