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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第23章 過ぎていく疾走


「…そっか…」
「もう…ここの所連絡つかなくて…追いかけすぎてもピリピリしているタイミングだから…あんまりそういうの嫌だし…」
「…それもそっか…。でも何か状態とかは?」
「ううん…」

そう言って小さく首を振る雅。キュッと手を膝の上で握りしめながらもどうしていいのか、どうしたら正解なのかを模索しているのがよく解る状態だった。

「…もう、さ。解らないなって…」
「加賀さんの事?」
「目の前でぼやぁって…靄のかかったような状況っていうか…先が見えなくて…でもグランプリ取ったらアメリカに行くから…その時に連れてってくれるって言ってたけど…もしかしたらそれも本当は嫌になってたりとか…荷物になってるのかなって…」
「雅…」
「バカだって…自分のチームと敵対するチームのドライバーが相手ならそんなの衝突するの解ってるでしょうって…それなのに、色々と考え込んだり自分のせいだなんて今更だって…」
「…クスクス…」
「あすかちゃん…?」
「ごめんね?アンリも、雅ちゃんにはそういう事言うのね」
「…なんかあるといっつも…バカだねって…どっちが年上か解らない位…」
「そういうのもいいんじゃない?」
「…ん」
「…でも、加賀さんの事はきっと大丈夫だと思う。新機導入して、それでこれだけ成績出してる。きっと相当重圧っていうか…グランプリになる事への責務…っていうか…期待…?大きいんだと思う。それに最後、なんだよね?」
「…ん」

肩を抱いて大丈夫よ、と続けるあすかの優しさに雅はこらえていた涙が頬を伝っていくのだった。
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