第23章 過ぎていく疾走
「すみません…」
「どうかしたか?」
「恐らく僕じゃ力不足です。」
「…ッ…アンリ…?」
「解ってます。自分の今の力がどれくらいかなんて…それで加賀を、彼を止める事は無理です。逆にミスって足引っ張ることになりかねない…」
「…ハァ…」
「…ごめんなさい…風見先輩…」
「そうか…」
そういって修はうむ…と頭をひねる。
「…ここまでの成績を考えれば何も問題が無ければどちらが勝っても納得がいく。」
「ハヤトが2ラウンド1位を取るのは最重要。それでいてどちらかで加賀君が3位以下であれば同点、かぁ…」
ペイをはじめスゴウチームがどうしたものか…と頭を抱えている状態だった。
「…加賀さんが3位以下で走る事なんてあるんでしょうか?」
「…ないだろうが…どうにか他のチームにも頑張ってもらうという形になるが…」
「そうは言っても、現状3位のランドルがもし1位を取り続けたとしても加賀さんが優勝は決定的でしょう?」
クレアのひと言で室内はシン…っと静かになる。
「…そう、なんだよな…」
「だけど諦める奴らじゃない。」
「まずは考えていても仕方がない。ハヤトには全力で戦ってもらうしかないな。」
「…はい…」
そうしてミーティングも終わった。
部屋を出ようとするメンバーの中で雅はただ一人出ることが出来なかった。
「…どうかしたの?雅ちゃん…」
「あすかちゃん…ううん?なんでもない」
「なんでもないって事はないでしょ…よかったら話して?」
「…」
ゆっくりと口を開く雅。それは連絡の取れない加賀の事だった。