第5章 ウンドウ
『かー疲れたっ!』
お風呂上がり、冷やしておいた炭酸飲料をぐびっと飲み今日1日を振り返る。
この間のUSJ襲撃事件で色々大変だったが、体育祭は予定通り行われるとのことで、授業でも、放課後も、そして家に帰ってからも体力作りを課題とし走り込みに勤しんだ。今日は合計で10kmほど走っただろうか。
私の個性は空駆ける猫と呼ばれているが、正直浮遊しているのにも体力を使う。
高く飛ぶほど体力を使うし、長く滞空しているのいも体力や体幹を要する。
夕飯はもう済ませたし、軽くキッチンでも掃除しておくか、と重い腰を上げスポンジを手に取る。
全てピカピカに磨き終え、布巾を絞って乾かしたところでガタッと物音が聞こえた。
『えっ…?お父さん…は昨日出張行ったしな…え?』
まさか、泥棒か?
正直少し前までの私だったらビビっていたと思う。でも、今は違う。ヒーローの卵として日々訓練を積んでいる。
大丈夫だ、倒せる。なんなら、この家に入ったのが運の尽きだったな、と物音のする方へ向かった。
『観念しなさいっ!!』
物音の聞こえた部屋、風呂場の扉をガラッと開けるとそこには濡れた体をタオルで拭く勝己の姿が…
勝己の姿!?
「あ?」
『あ?っじゃないわ!何勝手に人ん家でシャワー浴びてんのよ』
「別に俺がどこでシャワー浴びようが勝手だろうが」
『勝手じゃないんだわ、家隣なんだからあんたン家で浴びてよ』
「隣なんだから対して変わンねぇだろ」
『いやいや、せめて一言…』
気張って損したな、と頭を落とすと勝己のありのままな下半身が目に入ってしまった。
『っごめ、』
これはやばいと勢いよく扉を閉めた。