第2章 カラダ
「渡橋クン!?泣いているのかい?もしかして、緑谷クンが!?」
泣いているフリをして出久にちょっかいかけていたら教室から飯田くんが飛び出してきた。さすが、正義感の塊だな彼は。なんて悠長なことを考えていたら教室からワラワラクラスメイト達が顔を出してきた。
「あっいやいやいやいや、そんな、僕は、何もっ!!」
『だって…出久がぁ……』
「あ、あ、あのっ…芹奈、さん…」
『ふっ…新婚さんみたいな呼び方…笑』
「し、新婚っ!?」
再びボフッと音を立てながら真っ赤に茹で上がる出久。なんて揶揄い甲斐のあるコだろう。
「ナニ!?男子は18歳以上にならなければ婚姻関係は結べないぞ!?」
『あ、ごめん飯田くん。そういう話じゃないんだ、なんでもないよ』
ポカーンとする飯田くんといまだに茹蛸のような顔色の出久を置いて教室に入る。事情を聞き出そうとしてくるオーディエンスたちを軽くあしらい何も無かったかのように今日の訓練の反省会に混ざった。
翌朝、再び出久の私の呼び方が渡橋さんに戻っててお腹を抱えるほど笑ったのはまた別のお話。