第9章 シツケ
『…ん?え、これなんでxが20になるの?』
「テメェ人が言ったこと5秒で忘れんなボケが!テメェの脳みそは猫じゃなくて鶏か!」
『鶏は3歩歩いたら忘れるんでしょ。私歩いてないし』
「んなこたどうでも良いっつてんだボケが!」
放課後のファミレス。
私は横に座るツンツン頭に数学を教わっている。
「でも意外だったな。渡橋って意外と勉強苦手なんだな」
『んー…お父さんの出張で海外一緒に飛び回ってた時期あったからさ
その期間の学力がスポーンと抜けてんだよね』
「なるほどな。だから英語は学年1位なわけだ」
『まぁね〜語学力だけは自信あるかも』
本音を言うと私は苦手な理系科目をヤオモモに教えてもらおうと思ってたんだけど、誰かさんに教え殺したる!って引っ張ってこられて今に至る。
共に教え殺される予定の切島くんと、勝己がドリンクバーに行っている間に束の間の休憩時間を過ごしている。
「爆豪って最初ただのイかれた暴君だと思ってたけど、勉強もできんだな」
『うんまぁ…極度の負けず嫌いだからねぇ。自分が1番じゃなきゃ嫌だって感じで』
「あいつ本当。言葉遣いと態度さえ違えば完璧なんだけどな」
『本当だよ!私も今まで何度罵られたことか…ベストジーニストのとこ行って堅実な感じになるかと思ったら
多分ヒーロー殺しの件で余計に荒れてるっぽいし』
「緑谷に異常な敵対心あるもんな。あいつ」
『ホントホント。もうちょっと切島くんみたいに言葉通じる人になってほしいよ…』
普段の愚痴を吐きオレンジジュースの入ったコップを飲み干すと、何やら切島くんの顔色が悪い。何か変なものでも食べたか…?まさか、食中毒…?
「誰が言葉通じねぇって…?」
『……終わった』
今日の勉強会はお開きとなった。