• テキストサイズ

【刀剣乱舞】満ち欠けに、鶴。

第9章 『 小さな葛藤 』


「陸っ奥守……!」

肥前くんが、堪えきれず叫ぶ。

「あんたと俺が引き継ぎしたその次の日からだ」

彼の声は小さく、震えていた。

「急に様子が変わりやがった……何も言わずに姿を消すし……」

肥前くんは歯を食いしばり、拳を強く握る。

「どこにも気配がないと思ったらよ、いつの間にか……」

肥前くんが何かを言いかけてすぐ陸奥守さんの体が、びくりと揺れた。
糸が引かれるように、首が不自然に傾いた。

「……誰かに、操られてる?」

私は、確信する。
これは、霊力の暴走だけじゃない動き。

意思の介入。
――前任の遺したもの。

あるいは、もっと、本丸の奥深くに巣食う“何か”。

「……肥前くん」

静かに、彼へ呼びかける。

「私の後ろに」
「はっ――あんた、何言って!」
「大丈夫です」

自分でも、不思議なほど落ち着いた声がでた。

怖い。
それでも。

(……主として、逃げるわけにはいかない)

そう思うと私は一歩づつ、陸奥守さんへと近づいた。

その瞬間。
闇が、ざわりと、蠢いた。
まるで、“見られている”ような気配が部屋全体に広がっていた。

――この異変は、まだ序章にすぎない。
本能は告げていた。
/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp