• テキストサイズ

【刀剣乱舞】満ち欠けに、鶴。

第5章 『 私の力 』


私は、座ったままただ呼吸を整えた。

その瞬間。
場の空気が、さらに、柔らいだ。

「……主」

小さな声。
誰かと思えば、長髪の男の子だった。

「ここ、暖かいですね」

それを聞いた瞬間。

「……っ」

大包平が、一歩、踏み出しかけて、止まる。

「……鶯丸も」

声が、震えた。

「ここに居れば……」

言葉を、飲み込む。
鶴丸は、笑わなかった。

珍しく、真剣な顔で、私を見る。

「主」
「これ……訓練じゃない」
「本丸が、主を“中心”として、勝手に整い始めてる」

私は、喉を鳴らした。

「……まずい、ですか」
「政府目線なら」
「……やっぱり」
「最悪」

それから、少しだけ声を落とす。

「でも」
「刀剣男士目線なら――」

周囲を見渡す。

静かに集まった、仲間たち。

「奇跡だ」

その時。

回廊の奥。
月の光が、一段、濃くなった。

三日月宗近が、そこにいた。

近づかない。
けれど。

「……なるほど」

誰にともなく。

「主が“座す”だけで、刀が集う、か」

初めて。
その目が、否定ではなく――“警戒”から、“理解”へと、揺れた。

「……これは」

小さく、微笑む。

「信じぬ方が、難しいな」

誰にも聞こえぬ声。

だが。
確かに。

この本丸は、
“主を主として”認め始めていた。
/ 90ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp