第5章 『 私の力 』
大広間。
長谷部さんに今居るものだけでも集まるよう招集をかけてもらった。
全員が揃った大広間は、圧はあるものの異様なほど静かだった。
普段なら、誰かが軽口を叩き、誰かがそれに呆れる。
そんな空気があるはずなのに――
今日は、違う。
刀剣男士たちの視線は全員私の方へ向けられていた。
私の隣には、へし切長谷部。
少し後ろに、鶴丸国永と豊前江。
私は、ゆっくりと一歩前に出た。
「……時間を取らせて、すみません」
声は、思ったより落ち着いていた。
「今朝、本丸の奥を見ました」
そのタイミングで誰かが喉を鳴らした。
「そこで、知ったことがあります」
空気が、ぴんと張りつめる。
「この本丸には――大広間に姿を見せていない刀剣男士が、います」
一部から動揺が見られた。
「理由は、三つです」
ゆっくり前に出した指を折る。
「重傷で休眠している刀が、二振」
鶴丸と豊前の存在を、全員が理解する。
「そして」
息を吸う。
「……もう一つは」
言葉を、選ばない。
「折れた刀です」
その瞬間。
広間が、凍りついた。
「折れた……?」
「まさか……」
囁きが、波のように広がる。
「数は」
私は、はっきりと言葉にした。
「確認できたのは十一振のみです」
その数字に中央に座っていた一振のみ反応しているようだった。
「前任の審神者による、無理な出陣と管理不足が原因です」
責める口調ではない。
ただ、事実。
「……名前は」
誰かが、震える声で問う。
私は、少しだけ視線を伏せ――
そして、上げた。
「その中に」
言葉が、広間に落ちる。
「鶯丸が、います」
一瞬、理解が追いつかない沈黙。