• テキストサイズ

【刀剣乱舞】満ち欠けに、鶴。

第4章 『 主として 』


「この事実を」

鶴丸が、静かに言う。

「伏せたまま、本丸を続けるのは」

自然と声は小さくなっていた。

「……俺は、嫌だ」

振り返り、私を見る。

「主が、決めろ」

試す瞳。

「伝えたら、この本丸は荒れる」
「でも」
「黙ってたら、折れた奴らは二度死ぬ」

胸が、痛いほど締めつけられる。
私は、ゆっくりと立ち上がった。

「……伝えます」

声は、小さい。
でも、揺れなかった。

「鶯丸の名前も」

鶴丸の目が、わずかに揺れる。

「ただし」

続ける。

「誰かを責めるためじゃありません」
「前任を糾弾するためでもない」

一歩、前へ。

「この本丸が、
どこからやり直すのか――
それを、全員で知るためです」

沈黙。
やがて。

「……はは」

鶴丸が、小さく笑った。

「やっぱり、驚かせてくれる主だ」

その声は、どこか救われていた。

「じゃあ」

鶴丸は、奥の間を一度だけ振り返る。

「鶯丸」

低く、確かに呼ぶ。

「無駄じゃなかったって、ちゃんと見せてやろうぜ」

私は、拳を握りしめた。

この本丸の再生は――
痛みの上にしか、成り立たない。
でも。

(……だからこそ)

私は、主でいる。
/ 90ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp