第14章 交錯する夜
悟「……可愛いね、オマエが……全部、晒してくれるの。」
そしてそのまま、悟もまた果てる。
彼女の熱に呑まれるように深く、深く沈みながら静かに達する。
瞳を閉じた彼の横顔は、普段の飄々とした姿とは全く違っていた。
彼女を愛おしむような、そして独占するような顔――
遅れて、恵が彼女の腰にしがみつくようにして動きを止めた。
彼の肩も大きく上下し顔を伏せて歯を食いしばるように、じっと耐えていた。
恵「……みみ……っ、俺も……。」
その名を呼ぶ声には、かすかな哀しみさえ滲んでいた。
悟に奪われるたび彼のなかでくすぶる焦燥と欲が、静かに爆発するように果てていく。
3人の身体が重なったまま、しばらく誰も動こうとしなかった。
ただ交差した熱と余韻の中、激しく打ち合う鼓動だけが室内に響いていた。
息が整わないまま彼女は悟の胸にもたれながら恵の手を探り、指を絡める。
2人の男の熱が今も肌に、心に焼き付いて離れなかった。
「……まだ、こんなにも……。」
声にならない思いが唇から零れる。
悟が小さく笑い、彼女の額にキスを落とす。
悟「うん。まだ、終わらせないよ。」
そして恵もまた彼女の耳元で、掠れた声を落とした。
恵「……次は、俺の番だから。」
まるでこの時間を終わらせたくないかのように3人は再び唇を重ね合い、肌を寄せた。
交じり合った熱と欲望は、まだ完全には冷めることなく次の波を静かに確かに予感させていた――。