第11章 離れゆく心
「やぁあああ、んぐっ!?」
「るさい、叫ぶなボケ。」
起きたら副隊長が目の前にいて思わず叫んでしまい、起きた彼に口を塞がれて睨まれた。
副隊長がいるということは…あれは夢じゃなかった…?
「副隊長、なんかしましたよね?」
「なんのことや?ちゅーか、鍵掛けや。気付いたんが僕やなかったら、襲われとったで。」
絶対触ってた…じゃなくて、鍵を掛けていなかったことに驚く。
鍵も掛けずに私はあんな格好をしていたのか。
起き上がった副隊長はまだ時間あるから寝ときと頭を撫でる。
「僕行くからちゃんと鍵掛けるんやで。」
なんか今、おでこ触ってた?
頭を撫でられたかと思ったが、額を触っていた気がする。
隊服を持って部屋を出ていった彼を慌てて追いかける。
「あ、あのっ!えっと…副隊長も、まだ休んでてもいいんじゃ……。」
引き止めたかったけど、引き止める理由がわからなかった。
「……んなっ、アホか!出てくんな!」
私の後ろに目を向けた彼はすぐに隊服を肩に掛けてくれて、そのまま私を部屋に押し込んだ。
ベッドに放り投げられて、すぐに扉を開ける。
「なんも見てへんな!!ええから、なんも見てへんな!忘れへんとぶった斬る。」
やはり隊員がいたのだろうか。
扉を閉めてこちらを向いた彼は布団を掛けてくれた。
「もう寝れへんやろ、ちょお待っとき。」
その格好で出るなよと釘を刺して今度こそ部屋を出ていった。
少しすると戻ってきて、その手には水を持っている。
なんのかはわからないが口に薬を押し込まれて水を飲まされた。
何?と首を傾げるとバカなんかと呆れて頭を撫でてから部屋を出て、もう戻ってくることはなかった。