第15章 新しい家族
朝目が覚めてシャワーを浴びてホテルを後にする。
朝食を食べて、少しだけ観光してから東京へと戻った。
そのまま彼はタクシーへと乗り込み、龍寧神社と口にする。
どうして、龍寧神社?
「璃沙と璃子さんが僕についてきたい言うとった時あるやろ?あん時、カフカも連れてそこ行ったんや。彼女の璃沙と一緒に来たいなぁ思っとった。」
もう彼女じゃあらへんけど、と笑う彼を見て私も笑った。
龍寧神社につきお参りをして、タクシーを待たせているので少しだけ見て回る。
「ここって、むかーしの明暦の大怪獣との戦地だったんだよね?」
「そやで?僕のご先祖もここに祀られとる。君のお姉さんとご両親も。」
江戸時代明暦3年、江戸の大部分と関東各地を焼け野原にした大災害。
龍寧神社、もっとも大きな戦いがあった場所。
歴史上最も多くの討伐者が死んだ地。
もうそんな歴史は繰り返さない。
どんなに頭が悪くとも、このことだけはしっかりと覚えていた。
「さて…ほな、そろそろ行こか。」
鳥居を潜り、龍寧神社を後にしようとしたら、突然向かい風に吹かれ、まだ行かないでと言われている気がした。
振り返ると…ほんの一瞬だけ、気のせいかもしれない…両親と姉、そして…宗四郎によく似た人が見えた気がした。
私の大切な人たち…。
また前を向くと、今度は追い風になる。
私たちの未来は、あなたたちがいてくれたおかげで、眩い光を放って待っているの。
振り向き手を差し出して待ってくれている未来に駆け寄った。
私はこの人とこの人の子と…たくさんの小さな命の為に、いつまでも戦い続けよう。
その先にはきっと…明るい未来が待っているはずだから。
「なぁなぁ、2人目の名前は"未来"にしよか。」
未来の話をする彼にそうだねと笑った。