第13章 平和への道
数日後、戦の後処理も終わり、同盟は解消される。
はずだった。
「珍しい事もあるものだな。貴様自ら無期限の同盟締結の話をするとは」
「抜かせ。本当は今すぐにでもお前の首を落としてやりたいところだ。‥‥だが、美桜が顕如と対話した事で戦は完全終結となった。殺し合い以外でもやり方はいくらでもある、そう教えてくれた。‥‥‥流れる血は少ない方が良い。だから信長、同盟を結べ」
「謙信の方は不服そうだが?」
「当たり前だ。楽しみであるお前との戦ができなくなる。‥‥だが、あいつらの悲しむ顔はもう見たく無い、それだけだ」
謙信の目線の先には美桜と琴葉がいた。退陣の手伝いをしながら二人は楽しそうに話している。
話も纏まり、各軍の大将が署名した。
武田領であった甲斐の領地は織田と武田の共同統治する事を条件に同盟は締結。
平和への大きな一歩となった。
「美桜さん、琴葉さん」
「佐助くん!」
馬に乗ろうとしていた時に佐助くんに呼ばれた。
「今日は君達が乱世に来て三か月が経った日だ」
三ヶ月、あっという間だったなあ。来た時は帰りたくて仕方がなかった。でも今はここに残ると決め、後悔はない。それは琴葉も一緒のようだ。
「織田軍と上杉・武田軍は同盟を結んだから前よりかは会いやすくなった。またお邪魔させてもらう」
「確かに!天井からひょっこりが見れなくなるのは悲しいけど、正面から会えるのは良い事だよね!」
「お望みであれば、天井裏からでも参上するよ」
「侵入者に間違えられない?」
「大丈夫。俺はちょっとすごい忍びだから」
にんにんと言って得意げな(殆ど表情はいつもと変わらない)顔をする佐助くんがおもしろく、三人で笑いあった。
秀吉さんに呼ばれ、陣に戻る。
私は自分の馬に乗ろうとしたが、秀吉さんに疲れてるんだからやめとけと言われ秀吉さんの馬に乗せてもらった。琴葉は勿論家康さんと一緒だ。
城に戻ったら盛大に宴を開くと信長様が言い、兵達が騒ぎ合って秀吉さんが注意するという安土の日常が戻ってきて私は嬉しかった。