第12章 協定
軍議が終わって俺は直ぐ、その場を抜け出した。
真の主である顕如様に伝えるため。
でも、いつの間にか織田軍のみんなが大切な存在になっていた。抜け出す時、俺の事を助けてくれた美桜様の顔が浮かんだ。
「(俺を庇った事、後悔してるだろうなあ。‥ごめんなさい、みんな。ごめんなさい、美桜様。)」
蘭丸は心の中で謝りながら走り続けた。
だが、心の中では織田軍を裏切りたくない、このまま戦いたくない、顕如を修羅の道から救いたい‥‥‥そんな思いを最早無視できるはずはなく、何か策はないかと思いながら蘭丸は涙を流した。
「(あの時、助けてくれた美桜様にまた会えたら、顕如様を説得してほしい。おこがましい事はわかってるけど、俺じゃもう止められない。‥美桜様じゃないと顕如様に声は届かない‥)」