第11章 春日山城
「上杉・武田軍は顕如の毒矢で損害が大きく、先に顕如を倒そうとしている。織田軍も同様です。兵を失い、あの人達が黙っているはずがありません。恐らく近日中に顕如へ攻め入る事でしょう。しかし、謙信様達も見たはずです、顕如は大多数の軍勢を率いて来ました。今の兵の数ではこちらも織田軍も分が悪いはずです。であれば、協力して兵を増やし、顕如を倒す。その方が効率が良いかと」
私の考えに皆首を捻る。
「(そう簡単には受け入れてもらえない事はわかっている。織田軍、上杉・武田軍、私達にとって大事な人達同士が戦うのを見たくない。
一時的でも良いから協力して欲しい‥)」
心の中で願っていると信玄様が口を開いた。
「美桜の提案に俺は賛成だ」
「?!信玄様、良いんですか?あいつらと手を組むなんて‥!」
信玄様は冷静に話す。
「信長を恨む気持ちは変わらない。だが、今はその時じゃない、それだけだ」
「‥御館様が言うなら、俺は従います」
「良いのか、信玄」
謙信様が訝し気に信玄様を見る。
「お前は時が惜しいだろう」
「問題ないさ、時期を見誤っちゃいけない。今、倒すべき相手は顕如だ」
「‥‥わかった。急ぎ、信長に文を出す」
「?!ありがとうございます!」
不可能だと思っていた事が可能になり、嬉しくなる、琴葉の方を見ると、笑顔で「やったね!」と言った。
「返事が来次第、また報せる」
軍議は解散となった。
織田軍からの返事はすぐに来た。