第7章 戦の前
(琴葉目線)
「(美桜、喜んでくれてよかった。家康も喜んでくれたし、それに‥)」
思い出すと顔から火が出るほどさっきの家康はカッコよかった。
-数刻前
「い、家康。あの、これ前頼まれて作った羽織。‥どうかな?」
家康に渡すと羽織をじっと見ていて思わずその顔に見惚れていた。
「うん、すごく丁寧にできててあんたの腕の良さがわかるよ。ありがと。それと、戦が終わったら話したいことがある」
急に間近に家康の顔が来て一歩後ずさるも壁に背が当たり、動けなくなる。その上、両腕を壁につけて逃げ場をなくされた。
「(か、壁ドン?!)」
「い、家康‥?」
端正な顔が迫って来て目を瞑り身構えていると、耳元から低く艶のある声が聞こえた。
「帰ってきたら、俺の部屋に来て。‥約束だからね」
「は、はい」
「ふっ、良い子」
微笑みながら頭を撫でられ、私の心臓は異常なほどバクバクしていた。
家康が行った後、私は暫く顔の火照りが消えなかった。