第6章 訓練開始
いつ戦が起きても備えれるように翌日から本格的に準備が始まった。
「あーあ、なんで戦なんてやるのよー」
「仕方ないよ。ここは乱世、自分たちの考えが衝突し合う時代だからね、」
「だからってさー」
ごねる琴葉に内心賛同しつつ宥めながら私達は訓練先へ向かっていた。
とはいえ、場所は違うからもうすぐ別れる。
「光秀さんって謎だよね。何考えてるかわからないし‥」
「そうね‥私達の素性を知ろうとしてきた人だから、気をつけないと」
「美桜なら大丈夫だよ!空手の試合中、よくポーカーフェイスしてたし!」
「相手が違いすぎるわ。まあ‥でも、試合だと思って行けば頑張れそう。琴葉は家康さんと弓術だっけ?信長様も絶対確信犯な気がする‥‥」
「そうかなあ?信長様が私の気持ちを知ってるわけないし、たまたまじゃないか?でも、この機会、無駄にはしたくない‥!」
「ふふっ。応援してる。また進展あったら教えてね」
それじゃあまた後でと言い、私達は目的地へ向かった。
「(光秀さんの御殿に来るのは二度目‥落ち着け。これは試合、これは試合‥)」
「随分と身体が強張っているな」
「っ?!」
心の中で唱えていると、後ろから気配もなく声をかけられ、心臓が止まりそうになった。
「み、光秀さんでしたか‥急に後ろから声をかけるのはやめてください。足音もしなかったし、驚きましたよ‥」
「ほう?驚いたと言う割にはあまり顔に出てないな。お前の友人の方が反応は良かったぞ」
「琴葉にも同じことしたんですか?性格悪いですね」
「褒め言葉として受け取っておこう。それにしても‥中々様になってきたな。初め見た時は子兎のように頼りなかったのにな」
「それ、褒めてます?貶してます?私にも子兎にも失礼ですよ」
「おや、理解できたのか。‥おふざけはこのくらいにして始めようか」
光秀さんの纏う空気が変わり、自然と私も背筋が伸びる。初日は実践せず、道具の説明をしっかり覚えろとのこと。
「明日までにしっかり覚えておかないと血祭りになる‥そんな代物だ」
「平気で物騒なこと言わないでください‥‥今日はありがとうございました」
足早にその場を退散した美桜を光秀はずっと見ていた。