第5章 安土城城内
「生きていただと?!」
「ああ、それに信長様が桶狭間で討ち取ったはずの今川義元もそこにいるという話です」
驚く秀吉さんを横に、政宗は好戦的な笑みを浮かべた。
「へえ、あの軍神が生きていたとは。本願寺で暴れ足りなかったんだ、是非手合わせ願いたい」
物怖じせず、戦支度に取り掛かろうとしている姿を見て改めてここは乱世であり、この人達は武将なのだと思い知らされた。
「秀吉、光秀は引き続き顕如の捜索を。光秀、政宗、家康はいつでも行けるよう準備をしておけ」
「「「御意」」」
「それと、美桜。貴様は体術ができる。俺と一緒に前線に来い」
「(は?この人‥今なんて言った?正規の兵でもないのに)」
「嫌です。城で留守番をしています」
「貴様の意見など聞いていない。返事は『はい』だけだ」
有無を言わさない態度を取られ、それ以上反論はできなかった。
「琴葉、貴様も来い。家康から聞いているぞ。薬学について学んでいるそうだな。怪我人の手当てを任せる」
「わ、わかりました」
先程の会話を見ていて拒否できないとわかり、顔には不満の色を表しながら琴葉は頷いた。
「一つお願いがあるのですがよろしいでしょうか」
「なんだ、言ってみよ」
「私は体術ができるとはいえ兵として前線に行った場合、死ぬ確率が高いです。なので自己防衛としてなにか一つ武術を身に付けたいです」
「わ、私もです。体術できませんし、いざ手当て中に敵が来たら身を守れる術を持っておきたいです‥!」
暫く思案した後、信長様は許可をしてくれた。
「よかろう。せっかく本能寺から持ち帰ったんだ。早々死なすわけにはいかない。貴様らは我ら織田軍の幸運を呼ぶお守りだからな‥‥光秀、美桜に砲術を指南してやれ。家康は弓術を琴葉に指南しろ」
「「御意」」
「(色々信長様の発言にはツッコミたい所があるけど、一先ず訓練できそうで良かった)」
その後、細かい事を伝えられその日の軍議は解散になろうとした時だった。
「御館様!蘭丸が、森蘭丸が帰還しました!、」
「こいつ‥御館様を置いて、何処へ行っていた!」
随分と物々しい雰囲気の中、一人の美青年が家臣に連れられて入ってきた。
「信長様、申し訳ございませんでした‥!」
震えながら平伏する姿を見て家臣達は声を荒げた。