第19章 文書
琴葉はもう一枚文がある事に気づき、一人で黙読していると顔を真っ青にした。その異変に気づいた家康は心配そうに聞く。
「琴葉、顔色悪いけど大丈夫?」
「‥‥うん。‥‥信長様、もう一枚、美桜から文がありました。漢字ではないので読み上げます」
琴葉の声が震えている事に皆気づくが黙って見守る。
「秀吉さんへ、最初は怖かったけど段々打ち解け合えて嬉しかった。頼りになる兄だよ。
政宗へ、政宗の作る料理はどれも美味しかった。今度作り方教えてね。
家康さんへ、怪我をした時、薬を処方してくれて助かりました。琴葉を泣かせたら怒りますよ。
三成くんへ、安土に来て右も左も分からなかった頃、三成くんの笑顔に沢山救われた。ありがとう。
慶次へ、会って日が浅いけど気分が沈んでいる時とかに明るい慶次を見て自然と元気が出た。もっと沢山話たいな。
信長様へ、みす知らずの私達を住まわせてくれてありがとうございます。兄の様な、父の様な、そんな感じがしてすごく心強かったです。
光秀さんへ、沢山生きる術を教えてくれてありがとうございました。秀吉さんと仲良くしてね。
琴葉へ、私の一番の親友が琴葉で嬉しかった。幸せに暮らしてね。
私は帰蝶達の思惑を阻止するため、残ります。死にに行く訳ではありません。この戦に生き残って、必ず帰ってきます。みんなへの一言はもし私が帰って来れなかった時、ずっと言いたかった言葉をまとめました。半分遺書みたいな感じですよね。でも、今無性に伝えたくて書きました。
この手紙を書いた次の日に黒幕の正体がわかる気がします。帰蝶達が宴を開く程だから地位の高い人に違いない。
どうにかして伝達手段を手に入れます。その時に黒幕の正体をまた文で伝えますね。」