第6章 静寂の支配
蛍光灯の白い光が、無機質な会議室をやけに冷たく照らしている。
昼下がりの空気はどこか沈んでいて、静寂すら肌にまとわりつくようだった。
悟「……最近、やけに笑うこと増えたよね。誰のせい?」
その声は、いつもの飄々とした調子とは違っていた。
穏やかであるはずの声に、妙に張り詰めた色が混じっている。
「……悟先輩?」
悟「ねぇ、ミク。……僕の目、見て。」
気がつけば、五条の瞳がすぐそこにあった。
瑠璃色の虹彩に見下ろされるようにして彼女は一瞬、息を呑んだ。
その瞳は笑っていない。
むしろ、張り裂けそうな感情を必死に抑えているような危うさがあった。
悟「アイツと寝た?」
まるで冗談のように響いた問いだったが、声が震えていた。
五条悟という男が、怒りをそのまま見せることはほとんどない。
しかしいま彼の視線は、まるで心を焼き尽くすように真っ直ぐで――
ただの嫉妬ではない独占欲の熱が、そこにあった。
ミクが何かを答える前に、五条の手が彼女の顎を掴んだ。
その指先はいつもより強く、優しさではなく抑え込むような力がこもっている。
悟「……答えなくても、わかるよ。」
「……悟先輩っ。」
五条の唇が押しつけられる。
優しさはなかった。
まるで所有を示すような、支配的なキス。
彼の舌が強引に入り込み歯の奥までねじ込まれるような感覚に、ミクの膝がわずかに震えた。
悟「こんなに甘いくせに、他の男に触らせて……どれだけ僕を舐めてる?」
押し倒されるようにして壁際に追い詰められ、スカートの裾が無遠慮に捲り上げられる。
冷たい会議机の角に背中がぶつかる。
だが痛みよりも、彼の熱が肌を刺してくる。