第3章 知らない顔なんて出来ない

「んっ……や、もう……っ、もう無理……っ。」

ミクの喉から漏れる声は最初こそ掠れていたが、今はもうまともな言葉にならない。

身体は濡れて熱を持ち、指が動くたびに脚が震える。

まるで彼の指が、ミクの奥のどこか“逃げ場”をひとつずつ壊していくようだった。

甚「……無理なら、逃げろよ。ほら。」

そう言いながらも、伏黒甚爾の声は静かだった。

煽るようでも、責めるようでもない。

ただ――

観察するように、まなざしの奥でミクの変化を楽しんでいる。

甚「指だけで……もう、3回目だぞ。」

ぬるん、と音がした。

甚「ミクの中、もう限界近いんじゃねぇの？」

「ちが、違う、の……っ。」

懇願に似た言葉を吐きながらも、ミクの身体は逆らえなかった。

自分のものではないように、腰が甚爾の手の動きに合わせて僅かに前後する。

甚「……ほらな、動いてる。自分から。」

「……っ、やだ……見ないで……！」

甚「なんで？可愛いのに。……ほら、また……奥で、締めてんぞ？」

彼の指が、最奥を探るようにじわじわと動いた。

人差し指、そして中指。

ぐっと角度を変えて押し上げるたびに、ミクの喉がひくつき呼吸が乱れていく。

「……ふっ、ぁ、ああっ……。」

声を堪えようとするたびに、膝がわずかに崩れる。

そのたびに彼が腰を支えてくれているのが、悔しいほど安心で――

悔しいほど心地いい。

甚「……もう少しだな。」

耳元に熱い息が掛かる。

同時に動きが少しだけ速く深く、鋭くなる。