第18章 なんで、こんなに
甚「オマエ……昨日のこと、まだ怒ってんのか?」
「当たり前でしょ……“面倒”なんて言われて『はいそうですか』って笑えるわけないじゃない……!」
壁に押しつけられた背中がひやりと冷たい。
甚爾の体温の熱さが、それを際立たせる。
彼の手がミクの顎を掴む。
強引だけれど、どこか壊さないように丁寧なその手つきに心臓が不意に跳ねた。
甚「オマエみたいなの、初めてなんだよ。」
囁くように吐き出すようにそう言った彼の声音は悔しさと執着と、どうしようもない本気が混ざりあったような熱を孕んでいた。
甚「他の女とは違う。──オマエだけだ、本気になったのは。」
ぐっと抱き寄せられた身体が彼の逞しい胸に押し当てられる。
シャツ越しでもわかる心拍の速さが、ミクのそれと混じっていく。
拒めば壊れてしまいそうで、それ以上は何も言えなかった。
甚「……やだって言っても止めねぇからな。」
その言葉と同時に、唇を塞がれる。
深く、強く。
舌を絡め取るように、奪うキス。
甘さなど一切ない、ただ支配するような口づけに息が漏れた。
手早く服を脱がされていく。
冷たい空気が肌を撫でるたび、甚爾の視線がそこに這うように落ちる。
甚「……こんなに、綺麗な身体して……男を煽ってるってわかってんのか?」
「そんなつもり……っ、ない……っ。」
言い訳のように零すと、彼は低く笑った。
甚「無自覚なのが余計タチ悪い。」
荒々しい指先が、下着の上からミクの敏感な場所をなぞる。
濡れてしまっていることに、自分でも驚く。
怖いと思ったのに、いやらしい感情がそれ以上に溢れ出している。
甚「感じてんじゃねぇか……素直じゃねぇのは、どっちだよ。」
「……っあ、だって……!」