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モニタリング

第15章 夢現


悟の声は届かぬ距離ではなかった。

インターホン越しの会話は、まるで鼓膜に直接届くように生々しい。




甚「おい、ミク。いつからアイツと寝てんだ?」

彼女の体がびくりと震えた。

そして――

扉が、強く開かれた。

甚爾の長い脚が、躊躇なく踏み込んでくる。

悟が手を伸ばすも、彼は軽くかわして彼女の前へ立つ。

甚「そんなに啼くほど、気持ちよかったのか? アイツとのセックスは。」

彼女の視線が彷徨う。

呼吸は浅く、頬が火照っていた。

羞恥と動揺そして、胸の奥でざわめく別の感情。

かつて甚爾に触れられた夜の記憶が、脳裏にちらつく。

甚「――答えろよ。」

彼の指先が頬に触れた。

無骨で温かく、それでいて意地悪な手つき。

唇が塞がれる寸前、彼女はかすかに首を横に振った。

「……ちが、う。そういうんじゃ。」

甚「じゃあ、確かめてみるか。」

彼の手が、シーツを無造作に引き剥がした。

悟「おい、甚爾。」

悟の声が低く、怒りを孕んで唸る。

だが、それ以上は踏み込めない。

なぜなら、彼女の目が――

どこかで、拒絶していなかったから。

甚「なあ、教えてくれよ。」

甚爾の声が甘く、けれど支配的に耳元を舐めるように響く。

甚「俺とアイツ、どっちが気持ち良い?」

その言葉に、悟の顔が歪んだ。

悟「……ふざけんなよ。」

甚「だったら、オマエも来いよ。証明してやれ、男としての価値をさ。」

沈黙が流れた。

だが次の瞬間、悟は無言のままズボンを脱ぎ捨て彼女の傍へ膝をついた。

甚「オマエさ、誰のものか思い出させないと、分かんなくなるよな。」

彼女の唇に、ふたりの男の熱が交錯する。

冷たい手と、火傷しそうな熱。

滑る舌と、深く潜る指。

どちらのものか分からないほどに、身体が震える。

甘やかされ責められ奪われ、与えられる。

そのすべてが支配であり愛であり、執着だった。

甚「啼けよ。俺たちのどっちが、オマエを堕とせるか――試してみようぜ?」

絡まる熱。

嫉妬に塗れた夜は、果てることなく深く沈んでいく。
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