第15章 夢現
熱でぼんやりとした頭を抱えながら彼女は薄暗い部屋の中で、重い布団にくるまっていた。
エアコンの音だけが単調に響きカーテン越しの光は鈍く、時間の感覚も曖昧だ。
会社には朝、体調不良の連絡を入れたきり。
冷蔵庫に何かあっただろうか……
と考える余裕もないまま喉の渇きと頭の痛みに、じっと耐えていた。
そのときだった。
ピンポーン。
静けさを切り裂くようにインターホンが鳴った。
反応が遅れ、しばらくしてようやく玄関の方に顔を向ける。
「……はい?」
インターホン越しに、見慣れた明るい声が響いた。
悟「お届け物でーす、……熱出してんでしょ? 開けて。」
彼の声に、彼女の身体がびくりと反応した。