第3章 鬼に稀血
一度も陽の光に当たった事のない様な白い肌が、月の光に照らされていた。
ーーーーー鬼なら今殺す。
惑わされる訳にはいかない。
鬼の中に囚われていても、傷一つ無い。
この目が人間なはずが無かった。
「…………………。」
仁美は嫌悪を込めて自分を見上げている実弥に目を細めた。
仁美は実弥の顔を両手で包むと、実弥の唇に口付けをした。
「!!!!」
実弥の手が思い切り仁美の腕を掴んだ。
ミシミシと骨が鳴る音が体に響いた。
体が痛みを感じているのは分かっている。
だけど痛みが感じない。
仁美は実弥の唇を無理矢理舌で割った。
仁美の舌が実弥の口の中に押し付けられた時…。
実弥の歯が仁美の舌を噛み切った。
仁美の血が実弥の口の中に広かった。
仁美はすぐに傷が治ってしまうので、同じ様に自分でも舌を噛み切って、自分の血を彼の体内に入れる。
ーーーーーー甘い血の香りに体が痺れた。