第2章 輝石の額当て
「…はぁ……はぁ……。もう……大丈夫です……。」
「……まだ手が震えてるぞ…。」
天元は仁美の手を握って仁美に見せた。
仁美の体が震えている事より、先程の仁美の目の方が天元は気になっていた。
だがしばらく見ていても仁美は浅い呼吸を繰り返すだけで、目の変化はもう無かった。
「……大丈夫そうだな。」
これ以上仁美を観察していても変化は無さそうだ。
押し入れから布団を出してその上に仁美を寝かせた。
天元が仁美から離れようとした時、仁美の手が天元の服を掴んだ。
「待って…行かないでっ…行かないで下さい!!」
天元の体が離れた瞬間に、仁美の身体中に悪寒が走った。
赤い……。血の様に赤い。
あの目にずっと見られている様な感覚だった。
仁美に掴まれた位では、天元はビクともしなかった。
だけど彼は仁美の力に任せてその身を委ねてみた。
天元の体を引き寄せた仁美は彼を布団の上に押し付けた。
そして天元に跨り、彼が逃げない様に上から天元を押さえ付ける。