第2章 輝石の額当て
仁美の喉が上下して、水を飲んでいるのが確認出来た。
「うっううっ…。」
それでも天元は震える仁美の手を掴んで、仁美に自傷の傷か付かない様に彼女を抱きしめ続けた。
仁美の口の中の傷に天元の舌が触れた時。
今日鬼に付けられた傷口が熱くなった感じがした。
たいした事のない傷だと、手当もしなかった傷だった。
(…なんだ…?)
熱は傷口から広がり、体中が熱くなっていく。
次第に鼓動が早くなり、下半身に鈍い痛みが感じた。
「!?」
天元は仁美の顔を見ると、彼女の唇から顔を離した。
「……お前……。」
天元の腕の中で小刻みに震えている仁美は薄っすらと目を開けて天元を見ていた。
その目が真っ赤に光っていたから、天元は息を呑んだ。
「はっ……はぁ…。」
次第に呼吸が楽になり、仁美は目を閉じた。
そして再び天元と目が合った時はいつもの目に戻っていた。
同時に天元が感じた体の熱も冷め。
天元は観察するように仁美を見ていた。