第8章 4枚の婚姻状
仁美の話を聞いてから、天元と杏寿郎は部屋を出た。
仁美が全てを話したかは分からなかったが、仁美が何を思いどう生きてきたのかは触れられた。
「……お前、任務来てるぞ。」
「ああ…朝ここを立つ。」
天元は別に杏寿郎の恋路の邪魔をするつもりは無い。
仁美の話を聞いたら、仁美はこれから先に普通に誰かと夫婦になる。
そんな幸せもあっていいとすら思っている。
だけど仁美はそれを望んでいる様で望んでいない。
鬼に縛られている。
まだ夜も眠れない程に。
そして鬼舞辻無惨と繋がったと仁美が話したと言う事は、もう覚悟を決めているのだろう。
その覚悟を見届ける役目を誰にするのか。
仁美はもう決めていている様に思えた。
さて、隣の男は仁美の話を聞いて何を考えているのだろうか。
天元がチラッと杏寿郎を見ると、珍しく笑みが消えていた。
(無粋な事はしないさ。引かないだけだ。)
結果選ぶのは仁美だから。