第7章 鬼の宴
最後まで出来なくても気にならない。
気にするのは仁美が俺に縋り付いてくるか、こないかだ。
同じ事を何度も何度も繰り返して…。
仁美は俺の顔を見るだけで安堵の笑みを浮かべる様になった。
それがとても心地良くて、このままずっと仁美は鬼の棲家で生きてゆくのだと思っていた。
だから、その仁美が逃げ出した時は本当にショックだった。
仁美の居なくなった空っぽの部屋を見て、俺はしばらく呆然とした。
「……逃げたって、逃がさないよ。」
俺たちは仁美が生きている限り、ずっと追い続けるのだから。
ー鬼の宴 完ー