第5章 傲岸不遜の鬼
外は夜が白けてきて朝を告げている。
無惨は仁美から体を引き抜くと、ベットに横たわる仁美を見下ろした。
純白のドレスを鮮血で染めて、仁美は虚な目で浅い息を繰り返していた。
陽光が部屋に入る前に無惨は仁美を抱き上げた。
そして向かったのは決して陽光が当たらない地下の都市。無限城。
無惨は仁美を抱き抱えたまま目的の場所まで歩いて行った。
水辺のヒヤリとした空気。
蓮の花が浮かんでいる池の架け橋を無遠慮に歩き出す。
その中央で捕食音を立てながら女人の体を貪る一体の鬼。
鬼はすぐに無惨に気が付きその顔を上げた。
「ああ無惨様。この様な場所にわざわざおいでになるとは…如何致しましたか?」
無惨を見て高揚した顔を隠さずに虹色の目はキラキラと輝いていた。
しかし、無惨が抱き抱えている女からの血の匂いに一瞬にして興味は仁美へと向かった。
「……これは…稀血ですか?」
無惨がわざわざ稀血の女を自分に持って来た。
そんな浅はかな期待にその目を更に輝かせる。