第4章 赫き炎刀
「う……杏寿郎様……っ。」
体を捩りながら杏寿郎から離れようとした。
そんな仁美の体を更に自分に引き寄せる。
「……『恨まないで下さい』…。」
仁美を自分の腕の中に収めると、杏寿郎は先ほど仁美が言った事を呟いた。
耳元で杏寿郎の言葉が聞こえると、仁美は顔を上げて杏寿郎の顔を見た。
杏寿郎は笑みを浮かべて仁美を愛おしそうに見下ろしていた。
紅潮して自分を見下ろす杏寿郎を見て、仁美は驚いて目を見開いた。
抗えない情欲を植え付けられて、性行を余儀なく強要された。
情欲を満たした後の彼の顔は、実弥と同じ罪悪感を抱くと思っていた。
「そう言ったな?」
「それは…屈辱的な事をしたと思ってー…っ。」
仁美が答えると、杏寿郎は仁美の唇を塞いだ。
また杏寿郎の舌が絡んで、布団に押し付けられている仁美の手に杏寿郎の指が絡んできた。
そして唇を離すと、杏寿郎は上半身を起こして仁美を見下ろしながら言った。