第8章 少女漫画に憧れる準幹部様【番外編】
「お前、何言って……」
「次は顎クイをお願いします!!あと床ドンも!!ついでに机ドンも!!おでこコツンもフード被せも‥‥あっ、馬乗りも!」
「お前、どこの変態だよ!!マフィアでそんなプレイ流行ってねぇぞ!?」
「流行らせましょう!!ポートマフィア壁ドン部作りましょう!!部長はご主人で、副部長は私!」
「断る!!というか部活じゃねぇし!」
「えぇ〜〜!じゃあせめて壁ドン週1コースを!」
「コースってなんだコースって!!」
さすがの中也も声を張り上げた。
しかし美鈴は止まらない。
すでにバッグから新しい少女漫画を3冊も取り出している。
「はい! 次これです!これは制服で壁ドンして、そのまま不意打ちおでこコツンからの耳かじりです!」
「誰がやるか!!」
中也が机を叩く。
それでも美鈴は暴走する。
「ご主人以外に誰がいるんですか!ご主人以外考えられないんです!」
「知らねぇよ!自分の部屋の壁で勝手にやってろ!!」
「だってご主人じゃないと意味がないんですぅぅぅ!!」
何故か泣きそうな顔で美鈴が迫ってくる。
「……ったく、少し黙れ」
そう言って、中也は美鈴の額を指でコツンと小突いた。
「ひゃん……」
美鈴は頬を赤らめて、恍惚のため息を漏らした。
中也が額コツンしたせいで、美鈴のスイッチは完全に入ってしまった。
「ご主人、もっと……もっと〜〜〜」
「おい、目がヤベェぞお前!!」
美鈴の目は完全に恋と妄想で溶け切っていた。
少女漫画を抱えたまま、ずるずると中也の足元ににじり寄る。
「ご主人、もっとやってください。壁ドン……股ドン……顎クイ……次は……次は……」
美鈴は中也のズボンの裾をぎゅっと掴む。
「お前、ポートマフィアの準幹部が何してんだ!」
「ご主人の壁ドンで目覚めちゃったんです!もう戻れない……戻りたくない……」
美鈴はギラギラと輝く目で中也を見上げる。
「戻れ!今すぐ戻れ!!」