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【第二章】ヨコハマ事変篇 〜ひとしずくの願い〜

第4章 青の時代 〜忘れられないあの日の思い出 𝓟𝓪𝓻𝓽3〜







美鈴がポートマフィアに正式に決まった数十分後、中也は深いため息をつきながら、隣を歩く美鈴を横目に睨んでいた。

「はぁ……まったく……」

美鈴は両手を背中で組み、ぷいっと横を向いて頬を膨らませていた。

「何で私が謝らないと‥‥」

「手前はマフィアの幹部に攻撃を仕掛けたんだ。そして、怪我をさせた。普通なら首が飛ぶんだ、分かってんのか?」

美鈴は拗ねたように一歩前に出ると、両手をぶんぶん振って訴える。

「それが駄目なんだよ……」

中也は頭をかきむしりながら、美鈴の額を人差し指でぴんと弾く。

「いったい!」

「侵入者と勘違いされんのは当然だろ、姐さんは護衛も兼ねてんだからな。 」

美鈴は小さく鼻を鳴らし、今度は腕を組んで中也を睨み返した。

「まぁ、あの人のお陰でご主人の下で働くことになりましたし、お礼くらいは言ってあげますよ」

「何で上から目線なんだ」

中也はあきれ果てたように首をすくめ、帽子を深く被り直した。
美鈴はいたずらっぽく笑って、そっと中也の袖をつまむ。

「だって私のご主人の下に居られるのは、私にとっては何よりのご褒美ですから!」

「全く……」

中也はもう一度、深いため息をついたが、その口元はどこか小さく笑っていた。








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