第7章 地雷
あーもう。
なんでそんな泣きそうな顔するかなぁ。
「でも殺さなかった」
「…………ごめん、ほんとはあの時。苦しそうに落ちる莉央ちゃん見て興奮した…………。それで、その、思わず手、離して、ぇ、と」
「…………変態」
「ごめん、自覚はある」
あるんだ。
「…………まぁ、いいよ。変態さんのおかげで助けられたわけだし」
「でも莉央ちゃん、苦しかったよね…?」
「そりゃね。苦しかったよ」
「…………ごめんなさい。もう絶対しない。莉央ちゃん傷付くこと絶対しない」
「そうして」
ふぅ、て。
ため息吐き出して。
柳瀬の手を握った。
「ぐちゃぐちゃになること、よくあるの?」
「や、わかんない。普段は、いや、でもうん。ある、かな」
「そんな時いつもどうしてんの?」
「え…………」
「ブラック雅くん登場?」
「いや…………、うん、そうかも。」
「自傷とか?」
「え、リスカとかみたいな?いや、したことない」
てことは、無自覚なんだ。
銃やナイフ持ってる相手に無防備に近付いてくのも。
自分の命を顧みないその自傷とも取れる行動は、全部根底ここにある。
柳瀬の手のひらを親指ですりすりと撫でて。
それを頬へと当てがった。
「莉央ちゃん?」
「柳瀬」
「…………はい」
「付き合おうか、あたしたち」
「ぇ、え、いゃ、ええ!?いいの?莉央ちゃん、俺こんな酷いことしたのにいいの?きっとまた抑え効かなくなるよ?めちゃくちゃにするよ?莉央ちゃん前にすると自制効かないんだよ、俺、いつか莉央ちゃん壊しちゃうかも」
「嫌?」
「なわけないじゃん、ずっとずっと莉央ちゃん欲しくて。手に入れたくて。それが好きってことなんだって莉央ちゃん抱いて気付いたんだよ。はじめてこんな気持ちになったんだよ」
「…………熱烈な告白どうも」
「そうじゃなくて!!俺…………」
「柳瀬」
よいしょ、て。
なんとか身体を起こして壁へと寄りかかる。
「ずっと前から、柳瀬の好意嫌いじゃなかったよ」