第7章 地雷
「…………」
パチ、と浮上した意識を横へ向けると。
柳瀬がベッドの上。
深々と土下座している姿が視界にうつる。
「柳瀬…………」
起き上がろうと身体に力を入れた瞬間走った腰の激痛と全身の筋肉痛。
ああ…………。
「…………(察し)」
「ごめんなさい」
「…………」
どーすんのこれ。
指先ひとつ動かすたびにビリビリ身体の悲鳴が聞こえるんだけど。
あたし今日ゼミあんだけど。
まぁ。
もういいや。
ため息ついて半ば諦めモード全開で、窓を見た。
「…………」
「…………」
「…………今って、何時」
「え、と夕方?」
おかしいでしょ。
おかしいよね。
だってあたし、柳瀬とこの部屋来たのお昼より全然前。
なんならゼミ行く気でいたからかなり早い時間だったと思うのよ。
なのに窓の外は明らかに今から太陽が登り始めるタイミングなんかじゃなくて。
なんなら沈みかけてるような景色。
「あたし今日ゼミがあるんだけど」
「…………はい」
「てか何これ怖、怖すぎるんですけど」
「…………はい」
だいたいさ。
柳瀬ずっと頭ベッドに擦り付けるだけで、さっきからなんであたし柳瀬の頭見なきゃなんないの。
「柳瀬」
起きられない体の代わりに右手を伸ばして。
柳瀬の髪の毛へと触れた。
「まだ、あたし殺したい?」
「え」
「まだ、『手に入んないなら、殺し』たい?」
「い、いや…………」
あ。
やっと顔。
見れた。
「ごめん俺…………、莉央ちゃんに酷いこと言った、し、した…………」
「まだ、思ってる?」
「う、ううん!!思ってない、思ってないよ!!…………そりゃ、あれは本心だったけど、莉央ちゃんが欲しくて。莉央ちゃんに触れたくて。莉央ちゃん警戒心すごいし、近寄れなくて、なんかいろいろぐちゃぐちゃになってて。俺のものになんないなら誰のものにもしたくなくて。ごめん。ほんとごめんなさい」