第4章 自覚
「…………は?」
「いや雅お前…………」
待って今。
こいつ何した。
「いやだって。泣きながら俺のこと守ろうとする莉央ちゃんみたら、ねぇ?」
「…………は?」
「何がねぇ?だよ、そんなん他所でやれ。そんだけ元気ならさっさと部屋いってやれよそーゆーの」
「だって莉央ちゃん、続きは部屋行こっか」
よいしょ、て。
柱につかまってなんとか立ち上がる柳瀬は、右足も軽く引き摺り気味で。
折れてはなさそうだけど歩くのは無理そうだ。
平気な顔して立ってるつもりだろうけど。
無理してんのなんてすぐわかる。
「ふらふらじゃんお前、だいぶやられたなこれ。部屋まで手貸してやるよ」
「…………っス」
組員ふたりに連れられて、部屋へと戻る柳瀬の後ろ姿を見送れば。
後ろからヤスが声を、かけた。
「暁さんが心配なんで俺あっち行ってきます。雅頼んでいいです?」
「は…………?ぁ、え?」
え。
「病院、とか、行かないの…………?」
「別に刺されたわけじゃねーし、そのうち治んだろ。承知で暁さんに喧嘩売ったんだからあのバカ」
「喧嘩?売った?柳瀬が?」
「本人に聞けばいんじゃねっすか、直接」
はぁ。
面倒くさそうにため息ついて。
ヤスは数人の組員連れて車へと乗り込んだ。