第4章 自覚
「莉央ちゃん莉央ちゃん」
「ん?んーっ。」
何。
誰。
まだまだ重い瞼をなんとか持ち上げれば。
「やな、せ?何…………」
目の前に。
柳瀬の顔。
「ごめんね莉央ちゃん、俺もう仕事行かなきゃ」
あれ。
柳瀬。
なん?
ここあたしの部屋。
仕事?
「あー、ぅん?」
あれ。
待って。
なんか忘れてる。
夢みてんのか?
寝ぼけ眼で目を擦りながら頭を整理する。
のに。
ちゅ。
て。
リップ音と一緒に唇へと降ってきた体温。
に。
頭が一気に冴えた。
目を擦る手を一時停止。
あれ。
待ってあたし。
「みんなに見つかっちゃう前に行くね」
「!」
ばいばいって背中を向ける柳瀬へと、反射的に。
ほんとに無意識に手が伸びてて。
思わず。
シャツを握ってた。
「莉央ちゃん?」
「あ。」
不思議そうにあたしと、掴まれた自分の右手へと視線を向けて。
柳瀬がベッドへと乗ってくる。
そう、だ。
あたし。
「思い出した?」
あ。
か、ぁあああって。
一気に血液沸騰。
しかも。
近い。
近い近い近い。
顔近いから!!
朝から心臓にくるんだけど。
「朝弱いよね、莉央ちゃん」
ちゅ。
て。
また、キス。
「いってきます」
満足そうに笑いながら。
柳瀬はドアへと消えてった。