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メンヘラヤンデレ彼氏からの溺愛調教

第3章 自爆




《side 雅》






莉央ちゃんに再会する前。
食い繋ぐ手段として。
生活するために。
生きるために。



所謂、自分の身体を売り物にしていたことがある。




生きる意味なんて見出せないくせに。
生きてく意味なんてわかってないくせに。
腹が減れば食いもんが欲しくなるし。
寒くなれば服が欲しくなる。
喉が渇けば、水を望む。
ただただそんな当たり前のことでさえ、俺には理由がないと手に入れることが難しくて。
真っ当に生きるには。
環境が許してくれない。
いろんなものが、場所が、ぶっ壊れてたんだと思う。





『柳瀬』





モノクロだった景色に唯一見えた明るい場所。



『柳瀬、ちゃんと生きてる?ごめんね、ごめん。痛いよね、ごめんなさい、ごめん』



なんで。
あんたが泣く?



『もうしないから。誰も、柳瀬に近付かせないから。もう安心していいよ』





ああ。
知ってる。
この顔。




「…………たちばな、りお…………」



ああそうか。
橘花組って。
噂、まじだったんだ。



「…………泣かなくて、いい」



初めて。
自分のために泣いてくれた人。
手。
あったけーな。




「泣かないで」





折れた左腕は動かしにくかったけど。
それでもどうしても涙を止めたくて。
手を伸ばした。






—————ああこの女、欲しいな。






生まれて初めて。
何かを欲しいと思った。
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