第2章 情緒
「…………まって駄目。莉央ちゃん先に病院」
ほら。
すごく興奮してるくせに。
今すぐにでもあたしめちゃくちゃにしたいくせに。
ちゃんと自制してくれてる。
あたしから誘ったんだから流されちゃえばいいのに。
「柳瀬は大丈夫だよ」
「…………ねぇもしかして俺今、なんか試された?」
「気のせい」
「病院!行くよ!車待たせてるから!!」
どうしよう。
ぐちゃぐちゃの感情も、暴走も。
自分に向けられたものだと思うと。
かわいい。
うん。
やっぱりあたし。
柳瀬のこと嫌いになれない。
スーツのジャケット被せてくれて。
柳瀬が動けないあたしを抱き上げると、小さく一言、耳打ちした。
「薬抜けたら。明日、抱くから」
「!?」
「覚悟して」
ああこれは。
絶対わざと。
仕返しの方法まで完璧だ。