第9章 誕生日
「莉央ちゃん?」
「重くないよ。柳瀬が自分のこと話してくれるの嬉しくて、聞きいってただけ。…………雅くんが美味しいって思えるもの増やせるように、あたしがんばるね」
きっとね。
このあっつい中公園で何いちゃついてんだ、って。
呆れられてるかな。
まぁ大抵誰もなんも気にしてないだろうけど。
でもそれでもさ。
抱きしめたかったんだもん。
「愛いねぇ、柳瀬」
「う、い?」
「ういうい。だからさ、もっと教えてね、柳瀬のこと。少しずつでいいからさ」
「…………うん」
もう絶対。
どーでもいいなんて言わせない。
興味ないなんて、言わせない。
柳瀬が生まれてきてくれたこの日はきっと最良の日だと、いくら時間がかかってもいいからいつか、思えたらいい。
柳瀬が言う『重い』に、いつか釣り会えたらいい。
いつか釣り合いが取れたらきっと柳瀬も自分の思いが『重い』なんて思わなくなると思うから。
いつか。
あたしの想いも、柳瀬に伝わるといいな。
『誕生日』。
あたしは柳瀬の誕生を祝うために、生まれてきたんだよ。