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【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】

第1章 誰よりも


「確かに小隊長ってクラスから見たらちゃんの解放戦力は低い」
「いや、そんなハッキリ言わなくても」
「せやけどちゃんの本質はそこやない。全体を見渡せる広い視野に素早く的確な判断力と決断力。めっちゃ仲間思いで、こっちの負傷が最低限になるよういつも柔軟な考えで作戦を立ててる上にそれを実行できる胆力」
「……んえ?」
「コミュニケーション取るのも上手やから隊員からも慕われてるし、嫌なこと言われても不平不満言わんと受け止めてどうにかしようともがいてるとこ僕はめっちゃ偉いなー思う」
「ほ、保科くん?」
「ご飯食べる前に必ずいただきますって言うとことか、すれ違う人に毎回挨拶してるとこやろ? ほんで」
「もういい! もういいから!」

 思わぬ褒め地獄に頭の上から煙が吹き出しそうになってきたところでストップをかける。慰めようとしてくれるのありがたいけど、ここまでくると嬉しいを通り越して最早恥ずかしい。
 どんな顔していたらいいのかわからなくて視線を右往左往さていると両頬をむぎゅりと潰され、保科くんに顔を覗きこまれる。くぅ……間近で見ると更に顔がいい。

「ほんで──僕がいっちゃん目ぇかけてる子」
「……へ」
「僕は誰よりもちゃんのこと見とるし、わかってるつもりやで」
「保科くん……」
「亜白隊長が怪獣を射抜くときは僕が活路を開くけど、僕が活路を開いとるときは……いつもちゃんが僕の背中守ってくれとる」
「気づいて……」
「あったりまえやん。僕が討伐しやすいよう、怪獣の行動制限したり誘導してくれてんのちゃんと知ってんで」

 誰かに頼まれてやっているわけじゃないし誰かに認めてもらいたくてやっているわけでもなければ、ましてや褒められたくてやっているわけでもない。ただ、隊のみんなが問題なく怪獣討伐できるよう最大限サポートしようと動いているだけ。みんなで生きて帰りたい、それこそが私の行動原なのだから。だけど……。
 むず痒い気持ちになり、口元がもぞもぞと自然に動く。私をちゃんと見てくれてる人がいるってこんなに嬉しいことなんだ。
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