第5章 ♡心も体も恋に堕ちて

　はにかむように照れた笑みを見せた宗四郎くんを見て、さっきのは残念ながら意趣返しになってなかったんだなと思う。むしろ喜ばれてすらいる。……でもまあいっか。宗四郎くんが喜んでいるなら。
　ずっと熱の籠った眼差しをくれる彼に今度は私が照れて、そっと瞼を閉じた。薄い唇の感触に少しだけ口を開ければぬるりとまた舌が差し込まれる。やっぱり宗四郎くんにしてもらう方が気持ちいいな……。　
　親指で円を描くように捏ねてみたり、押し潰してみたり。鷲掴むように全体を強く揉んでみたり、優しく指先を沈めるだけに止めてみたり。休むことなく私の胸を触る彼の両手は、いろいろ試しては私の反応を観察している様子。
　どうやら彼は私が一番気持ちいいと感じられる触り方を探してくれているみたい。酸素の足りなくなってきた頭がふわふわと蕩け出して来た頃、ちゅっと音を立てながら離れていった彼もまた、蕩けるような顔で私を覗き込んでいた。

「ぅあ、あっ……んぅ」
「ええ顔」
「そ、しろくん」
「下も触ってええか？」
「ん……」
「あんがと。もっと気持ちよぉできるようにがんばるわな」
「……ほどほどでいいデス」
「まあまあ、そう遠慮せんと」

　遠慮じゃない！　って私が言うよりも早く私のショーツの中に手を入れた彼は、少し濡れそぼっている割れ目を指で軽く撫で上げた。くち、と粘着質な水音が私の耳にまで届いてきて、全身の血が顔に集まってきたんじゃないかと思うほど私の顔は熱を帯びていく。
　──恥ずかしい、無理。文句を言おうと開けた口がはくはくと意味もなく勝手に動く。そして考えるよりも早く、宗四郎くんを私の上から退かせようと肩を押す。……ものの残念ながらびくともせず、何なら片手で私の両手をまとめ上げた彼はシーツへと私の両手を縫い付けるように固定した。
　意図せず万歳する形になってしまった私は、腕で顔を隠すことも、口を覆うこともできず、彼の妖艶な紅紫色の瞳から逃れることができなくなってしまう。

「声、たくさん聞かせて」
「アッ！　待、耳だめ！」