第8章 適合者
「君は悪ない。悪いんは9号や…それに記憶はなくても君は僕が昔から知ってる""や」
副隊長の言葉に再び涙が溢れ出した。
やっぱりこの人じゃなきゃ嫌だ…
きっと記憶は無くても躰は覚えていたんだ。
だからこんなにも胸が苦しかったんだ。
落ち着くまで副隊長は優しく抱き締めてくれていた…
今なら話せる。
自分の気持ちを伝えなくちゃ…
『保科副隊長…好きです…』
「ッ!!それはほんまか…?」
副隊長の顔を見上げれば驚いてはいるけど、凄く嬉しそうな表情をしていた。
彼の言葉に小さく頷けば…
背中に回っている腕の力が強くなりぎゅーっと抱き締められる。
「あかん、めっちゃ嬉しい…1つ聞いてええか…?」
いつもより少し低音の声が凄く心地よく聞こえた。
きっと記憶をなくす前の自分もこの声が好きだったんだろうな…
そんなことを考えながらも、副隊長の質問に小さく頷けば…
「なんでさっき…僕のことビンタしたん!?めっちゃ痛かったし、フラれたと思ったんやけど!!!!!」
突然子供のようにぷくーっと頬を膨らませて怒る副隊長につい頬が緩んでしまった。
『ふふ、ごめんなさい…なんでもっと早く言ってくれなかったの?って…私も貴方のことが好きだったのに…って気持ちが込み上げてしまって思わず手が…ごめんなさい…ンッ///』