第10章 見送り(みおくり)
そりゃ情報を渡したかもしんねえ
でもいずれ知られるのは時間の問題だったはずだ
誰がいつ伝えても同じことだ
それに今…お前はちゃんと覚えていて、知ってくれている
背負ってくれている
反省だってしている
なら…怒れねえよ…」涙ぽとっ
「……あんさん
ほんま…優しいでんなあ
反吐が出るぐらい
恵土「反吐が出るってなんだよおい!;」
「でも……
でも…
あんさんらみたいなのばっかりなら…
さぞかし、心地よいんでっしゃろなあ」ひっく、ぐすんっ
えっぐ、えっぐ
そう咽び泣くばかりのそれに、恵土は笑みを浮かべた
恵土「……(くす)
んじゃあ今から堪能しようや
な?^^」
「はい!^^」大きく頷く
かくして…
恵土「お前の名前、なんていうんだ?」
「公麿(きみまろ)でんがな
商人の家で商いやっておりましてな
恵土「随分変わった名前なんだな
公麿「これは!公家にまで上がれるようにと願いを込めた名で……
上がる所か殺されましたけんども」
恵土「じゃあ、今からでもやってみっか!」笑い掛ける
公麿「ぱあ!)はいな!^^」
今から5年前の話だったらしい…
当時、師匠は14歳だったという
しのぶ「……じゃあ…公麿さんは」
公麿「どうせなら…命賭ける相手選びたいし…
賭けとおなりましてな……
あんな侍に」
その言葉に…はい、と小さく呟いた
目を細め…頬を紅潮させながら……
それから修行を絶えず行い続けた
勿論、ちゃんと休むのも修行の内だ、と
言うが早いか、週に3日は休みを無理やり入れられた
でも…そのお蔭で、自然回復力が鍛えられたようにも思う
姉さんと再会する、最終選別まで…あっという間だった
その間に…白い羽織を贈られた
恵土「15歳になっても着れるはずだ!」
やたら長物を着させられると思ったら…
なんでも師匠が当時に着ていたものを、私用に仕立て直したものらしい
このまま使わないのも勿体無いこと
詰め襟を作ったのが、縁という里なのもあってか
かなり強靭で、軽く丈夫な金属繊維で仕立てられたものだそうだ
大事に使っていこう、と手にしながら思った
そして…師匠の刀を借りることになった
最終選別では、育手(そだて)の日輪刀を借りて受けることになるらしい
恵土「合格して、必ず生きて一緒に帰ってこい!」
そう何度も言い聞かせられた
