第9章 奥義(おうぎ)
恵土「全身の力の制御
全身の力を一点に、一塊の動きとして放つ、常時維持
最小の力で最大の効力を発揮する技術
最小の力で移動出来るようにし、どんな攻撃を受けても足場に出来るぐらいの操作能力
つまり…
道なき道の修練は、最大の向上と維持(筋力、筋持久力、持久力)
木道の修練は、最小の歩法と操作能力(敏捷、平衡感覚、瞬発力)
反射神経、動体視力はどちらも鍛えられる」
しのぶ「なるほど…
(ものが違うと感じたのはそれで!」
恵土「お前なら、説明されずとも気付くと信じていた
良かったよ、本当に^^」
しのぶ「いえ…
師匠が、あの一言がなければ今でもきっと…」
気付けなかった
その言葉に被せるようにして、師匠は言った
恵土「自信を持て
胸を張れ
この修練を突破したのは、お前だけだ
お前が初めてなんだ
ずっとずっと待っていた
合格できる人を…
それがお前で…本当に良かったよ
ありがとう…
頑張って良かった^^
作った甲斐があったよ」
涙を流しながら礼を言う師匠に…
しのぶ「…はい」
私も、涙を流しながら
縋り付きながら、小さく呟いていた
その背を優しく撫でてくれる中、笑い合いながら一緒に泣いていた…
その日……休息日だったらしく…
私達は揃って、泥のように眠りに付いていた
息抜きにどうだ?
そうトランプを持ってきてくれる師匠…
美味しいものはどうだ?
夜中まで考えに耽る、整理する私への差し入れ
昼間、修行の中で
休息も修行の内だ!
と師匠から連れ出されたこと
しのぶ(……ああ…そうか……)
大の字でこんこんと眠る師匠に目を向け、静かに想う
その時になって、やっと気付いた…
一目惚れだったこと……
あの日、あの晩…
追い掛けた理由は……憧れや羨望なんかじゃない
………あの在り方に、姿勢に、優しさに、自分のことのように喜び、共に歩める、自然と歩幅を合わせてくれる温かさに、尊重して寄り添ってくれる心地良さに…愛おしさを感じていたこと
いたずらに怒らず、やったなあああ!^^とじゃれてくれた(頬擦り)こと
何か月も…いつ寝ているかもわからない生活を、嫌な顔一つせず…ずっと続けてくれたこと
何度も、何度でも……優しく、丁寧に接してくれたこと
大好き…^^//
そんな想いに駆られて…
抱き締めていた