第9章 奥義(おうぎ)
止められると思っていた
小さい自分が
幼い自分が…
最終選別を受けようとすることを
でも…違った
私の決断を、意志を、重要視してくれた
寄り添ってくれた、尊重してくれた
それが堪らなく嬉しかった……
私は…師匠以外とは結ばれたくない
そう強く想ってしまった……
その日…私は、恋を知ってしまった
木道の修練を終えた、次の日のことだった――その日は丸一日寝ていた
その次の日…
最終選別がある日まで、奥義を伝授すると言われた
風月流と真月流の奥義を……
私の呼吸が光の呼吸で無かったことは残念だったけれど、朧を身に付けられたことで可能であると判断した旨を伝えられた
つまり総仕上げであると……
結局…告白はしないことにした
今は……
しのぶ「どうやって身に付けるのですか?」
恵土「これまでの全部を同時に出す!
突進しながら出す技だからな!
見本を見せるぞ!」
そう言うが早いか…
大岩を貫通したり、叩き斬ったりした……
しのぶ「………(動きが全く見えなかった…;」たらーり
恵土「さ、やってみろ!」
しのぶ「どうやって?;」困惑
師匠曰く…
突きの名は一閃
風月流の奥義で、相手へ突進し解き放たれる突き
全身の動き、力、速度、全てを一塊の動き、突きそのものとする
それを袈裟斬りで行うのが
真月流の奥義、風魔一閃だと
木の枝や藪等の天然の障害物も死ぬほど多く、踏む場所を間違えればこけ、ただの怪我では済まない
道中、木の枝を(下は奈落の底)、川(時速30km)の上にある岩場を次々移る道もある(濡れていて危険)
最初教えられるのは回り道(比較的楽な道20km)で、4箇所のみを繋げば最短で行ける(一周2km、50周100kmのみ)
ただし、死ぬほど険しい
木道では常に濡れていて滑るだけでなく、揺れも激しくすぐ沈む
その中で小石や刀を投げ付けられ(跳弾を利用した全方位同時攻撃)、それを避けながら最も険しい、沈む条件が厳しい木道を超えてゆく
それら全てを通しで、刀を手に持った状態で、最短一周、最も厳しい木道をした後のことだった
全身の動きと力と速度、その一塊化を意識して、心を鎮めてやると…自然と出来た
目の前の三町は超える大岩(約330m)を、突き破って粉々にし、斬って捨てた
その変化に愕然とした