第30章 解散(かいさん)
それから……
一度として、恵土の目は覚ますことは無かった………
ミーンミンミンミンミーン♪
蝉の声が響く中…
どたどたどたどた
ばあんっ!!
しのぶ「もうすぐで夏祭りですよ
起きて下さい!
皆勤賞はどうしたんですか?」ゆさゆさ
いつもの調子で…起こそうとした
しかし…本人は微動だにせず
神里眼で見ても、どこにも異常は無く
例の薬(中枢神経亢進薬も機能回復薬も)も効かなかった
あの日(1912年1月12日晩19時12分)……
日輪刀が…光となって、溶けて
蛍のように煌めきながら、天へ昇っていった
師匠の日輪刀も……
この世に存在していたのが嘘みたいに…
なんの変哲もない、玉鋼の刀へと変わっていた
陽光山も、ただの岩山へ…
藤襲山も…藤が季節通りに咲くように……
しのぶ「師匠……
どうすれば…起きてくれますか?」
何度目かの声掛け…
それは…蝉の声に掻き消されていた
創世神化を解除される間際
鬼が居ないことを念入りに確認し、それから解除していた
だからこそ…特に取り乱すことも無く、受け入れられた
善逸「全部…終わったんだよな……
これで禰豆子ちゃんと一緒に遊べるぞおおお!!♪」るんっ!♪
炭治郎「それよりも…恵土さん、心配だなあ」
カナヲ「大丈夫…
カナエ姉さんもしのぶ姉さんもついているから^^
月代さんも珠世さんも」
炭治郎「そっか…^^」ほっ
伊之助「それよりも…
また鍛錬し直さねえとな、効かなかったし…
山籠りでもするか!」ふんすっ!
炭治郎「気を付けてな」微笑
善逸「嵐にも気を付けろよ〜」手を振って去ってゆく
炭十郎「炭治郎…」
炭治郎「父さん!」だっ!
炭十郎「帰ろうか」
炭治郎「うん!(微笑し頷く)
またな!カナヲ〜!」手を振る
カナヲ「うん!進捗、手紙で送るね」
炭治郎「ありがとお!!」
それから…半年もの時が過ぎた
それまで恵土は昏睡状態で、過労との診断が下った
しかし…いつまで経っても起きることも、目を開けることも無かった
しのぶ「どお…して?
両親に挨拶するって言ってたじゃないっ」
そんな声が…寝台の側で響き
恵土の顔へ、涙が何粒も何粒も落ちて行った
しのぶ「わたし…なんにも、出来てないっ」滂沱
7月12日…朝……
昼からある柱合会議、その前でのことだった………