第30章 解散(かいさん)
倒れ伏してから
そう言いながら起き上がった
蜜璃「そんなバテバテなのに?」
小芭内「最後の一撃で近付いたとは言え三里(11.782km)はあるぞ」
恵土「歩く…」ふらふら
しのぶ「無茶です!!」
恵土「歩くから…
自分で」
今にも意識が飛びそうな、真っ青な青ざめた顔で
必死に手を添えて運ぼうとするしのぶの肩を手で掴んで制して止めた
小芭内「…」しのぶの肩を掴んで頭を振る
言い出したら聞かない
そう暗に示し、皆は先に各所に伝える為に
鎹鴉を飛ばし、すぐに休めるように手配し出した
残ったのは小芭内と蜜璃
恵土の側にしのぶのみとなった
蜜璃「…あ」
小芭内「甘露寺…お前はこっちだ」
蜜璃「…………(きゅっ!)←胸元で手を合わせ、唇を強く結び、衝動を必死に飲み込む
(にこっ!)
御屋敷で待ってるから!!」微笑
だっ!!
明かされたことは多い
青い彼岸花(赤い彼岸花の突然変異、邪を吸い取る)のこと
見掛けたら燃やすこと
無惨が心臓が七つ、脳が五つあったこと
それら全て潰しても討伐は不可能であったこと
魂の最後の癌であり、それが確実に滅されて消えたこと
隊士や隠がその凱旋を見送ろうと走り
列を成して足元を照らし、頑張れ!と鼓舞し続けた
その数は…千を下らないほどにいた……
その手に日輪刀は無く、持ち主である縁の里の各家庭、家族の元へ返したそうだ
折ってしまった炭治郎は頭を何度も下げ土下座までしていた…
が、笑って許されていた
やっと鬼が討たれたねえ
ありがとうねえ
と年配の女性が涙を流していた
最後の身内である幼い孫を殺され食われてしまったらしい
今の炭治郎と同じ年だったようで、その場に泣き崩れていた
善逸「凄いよ!17年以上も!
炭治郎「頑張れ!!もう少しだぁ!!」
善逸「頑張れ!!負けるなああ!!」滂沱
伊之助「あいつの情緒どうなってんだ;」困惑
カナヲ「シー!」
提灯を手に持ち
御屋敷の門から土間への庭の道中を照らしていた
カナエ「おかえりなさい^^」土間より上の式台で待つ
ふらっ
しのぶ「師匠」両腕を広げる
土間の入り口
戸を越えた辺りから力尽きるようにして
前に倒れ、御屋敷の土間で意識を手放した
やっと…終わった……
長い…戦いが……
やっと…終わった………
そんな想いが…恵土の胸中では渦巻いていた――
