第29章 化身化(けしんか)
所変わって
縁の里の一角
実弥「戦える場所とは言っちゃいたが……
本気でここに誘き寄せるつもりか?
あいつ」
行冥「恐らくは本気だろう…
藤襲山も鬼は一人も居なくなり
どこを探しても見つからんほどだ…
私の提案した柱稽古が通り
無事、鍛え上げることに専念し合えた…
癌の気配を追えるのは…恵土と小芭内ぐらいだ」
実弥「闇を司る神だから見抜ける、ねえ
まあ卑怯な手段を嫌うって部類じゃわかるが…
実在化で削られる分がでけえ分、か…」
行冥「ああ…
さしものことながら…神から遠い位…
地獄よりも更に下の部類に当たるからな…」
実弥「隠れ癌は始末した
癌もあいつを除いて全て
主犯格の癌は…あいつが15になったばかりの頃に……
十四垓人を道連れにして加担させ隠れ癌へ、大罪人に仕立て上げた、変異させて自らをも殺させた張本人…
それが一億人目の癌なのはわかったが…
それで振り回される側は堪ったもんじゃねえ
行冥「それも今日終わる…
終わらせる」じゃらじゃら
実弥「……
(ふっ」にやり
があんっ!!
白と黒がぶつかり合う光が上がった
行冥「空気が変わった…
ゆくぞ」ぐっ!!←日輪刀を持ち上げる
実弥「了解!!」ぐっ!!←日輪刀を抜いて構える
無惨にあるものを見せる
そうなれば必ず、こちらに逃げてくるはずだ!
そこを仕留めてくれ!!
後は段取り通り…確実に決める!!
御屋敷(恵土邸)
しのぶの部屋(一室、恵土の部屋の隣)
しのぶ「姉さん、何もこんな時じゃなくても;」汗、困惑
カナエ「こんな時だからよ」しゅっ!!
ぎゅっ!!
カナエ「よし…(微笑)
お願いね?私はもう、戦場には行けないから」悲しそうに顔を歪める
しのぶ「……うん
着付けてくれてありがとう(微笑)
姉さんの分も、戦ってくるから!」だっ!!
蝶の羽の模様の羽織りを着て走り出してゆく
カナエ「どうか、ご武運を……」
鎹鴉によって通達された情報
それに従って、各々段取り通り所定の位置に着く
それぞれに、例の百本の恵土が打って手ずから力を込めた日輪刀(150ページ参照)を携えた隊士達が
恵土を鬼化させる為にさらわれた場所(47ページ参照)から、縁の里の上空の中央に飛んでくる中…
起点となる中央に迫りくることに備えて、強いものから中央近くに配置するようにしていた
